こんにちは、やとわれてんちょです。
小売業を22年、店長を15年ほどやってます。この記事は
仕事で営業に関わる人に是非知ってほしい行動経済学のうち
「アンカーリング」を紹介します。
営業サイドで働いている人もあんまり聞いた事ないかも?
「インプットされた情報が錨のように心の働きに影響する」
っていう傾向のことですね。
まして意識して活用している人は少ないと思います。
営業する側としては周囲とちょっと差をつけるために、
購入する側としては特に意識してなかった自分の傾向を
理解するためにも知識として知っておくといいですよ。
![](https://fire-tencho.com/wp-content/uploads/2022/05/syoudan_torihiki.png)
この記事シリーズは
- 営業に配属されたけど自信がない
- 営業をしばらくしてるけど中々結果が出ない
- センスで営業してるけど分析は特にしていない
- 店舗を構えてるけどどう演出したらいいか手探り
という方へ行動経済学の中からひとつずつ簡単に
現場で使える活用例を紹介します。
初めての人でも分かるように教科書みたいな事例じゃなく
現場での事例を交えて紹介するので
営業現場が初めての人、自信がない人などにも
わかりやすくしていきますね。
それでは早速解説します。
- アンカーリングって何?どんな心理?
- アンカーリングの具体例、活用例
- おまけ
①アンカーリングって何?どんな心理?
冒頭でちょっとだけ触れましたがアンカーリングは
「インプットされた情報が錨のように心の働きに影響する」
という心理傾向です。船の錨(アンカー)があることで
船はその場所から決まった範囲しか動けませんよね?
![](https://fire-tencho.com/wp-content/uploads/2022/05/ocean_ikari.png)
人間の心理としても、ある情報に引っ張られて判断が
誘導されてしまうことはかなりあります。
というか営業現場では普通に使ってます。
商談の中では常に価格や性能を比較して購入判断を
するわけですが、どの数値を基準(アンカー)とするか?
どの価格を基準値と思ってもらうかが大事です。
この時に基準(アンカー)は「数字で伝えると効果的」です。
イメージしやすいし覚えやすい数字がいいですね。
特にアンカーリングが効果的なのはたまにしか購入しないものや
比較対象が少ない商品(サービス)などが該当します。
反対に日用品や缶コーヒーのように価格や性能が
だいたい把握されてる商品やサービスは
あんまりアンカーリングは有効じゃありません。
だって既に価格が頭に入ってる状態(アンカーリング)
ですから。
共通するのは
「先に伝える情報をアンカーリングとして使う」こと。
これをすっ飛ばして商談を急いじゃう営業の人多いですよ。
いきなり本命の商談を切り出して成功すればカッコイイですが
そんなのは続きません。
多少遠回りになるけど丁寧に選択肢を提案して
最終的には顧客・商談相手に選んでもらうのがいいと思います。
その時にこちらの本命を選んでもらうコツとして
アンカーリングを活用しましょう。
実際の現場ではアンカーリングだけじゃなく
「親近効果」や「バンドワゴン効果」も併用します。
わかってて活用してる人もいればセンスで理解してる人も
いますね。よかったら別記事で紹介してるので読んでみてね。
![](https://fire-tencho.com/wp-content/uploads/2022/05/DNTIMGL5841-160x160.jpg)
![](https://fire-tencho.com/wp-content/uploads/2022/04/XEN7615010-160x160.jpg)
そしてアンカーリング効果を活用するにあたり
守るべきルールや効果の薄い場面も
あるので次の具体例、活用例で紹介しますね。
②アンカーリングの具体例、活用例
ではアンカーリングの具体例をいくつか紹介します。
定番の商談シーンやちょっとズルくない?という例など。
2−1この商品が今なら50%オフ?
よくある店頭広告やアウトレットモールなんかで頻繁にみますね。
商品A 29,800円が今なら14,900円にします!
というやつ。この場合29,800円の方を先に情報提示して
アンカーリングにしてます。半額の価格で2倍の価値が
手に入るならお買い得かなと思いやすい心理ですね。
![](https://fire-tencho.com/wp-content/uploads/2022/05/net_shopping_smartphone.png)
でもこれ、本当にいつもは29,800円ですか?
嘘はダメですよ。これは「二重価格表示」と言って
景品表示法でルールが定められています。
消費者庁ホームページ「二重価格表示」より
これは先ほどの守るべきルール ですね。
知らなかったではダメなので営業活動する人なら
必ずチェックしましょう。
この例の場合、商品Aがふだん馴染みのないモノで
効果的な下地がある上で価格という数字を
アンカーリングしてますね。それから
わかりやすい半額というキーワードで提示することで
二つの価格を比較する心理になり
「なんだか掘り出し物を見つけたかも」となるわけです。
2−2どのプランにしますか?松竹梅
こちらもよくあるアンカーリングの例。
先ほどと違って3つくらいの選択肢がある場合に
売り手としては商品Bをオススメしたいとします。
このような時に現場では
わざと完全予算オーバーの提示をすることがあります。
- あえて予算大幅オーバーの商品A 24万円
- 本命で購入してほしい商品B 12万円
- 本命よりはちょっと格下商品C 10万円
こんな感じですね。これで先に商品Aを紹介して
24万円という数字をアンカーリングしておき、次に
商品Bの12万円を紹介するという訳です。
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このようなケースは自動車や家電商品を販売する時
だけでなくコンサルティング提案やサービス提案でも
効果的ですね。価格を決めてる側が説明の順番を
上位のモノからするのは営業サイドでは普通です。
ただし、この場合も商品ABCどれになってもちゃんと
中身のあるモノじゃないと嘘になりますからね。
他にも実際の店舗では最初に目にする位置に
そのコーナーカテゴリから高額なモノを選んで
展開していることが多いです。これによって
そのコーナーを見た方は最初に見た商品価格を
自然と基準(アンカー)として考えやすいんですね。
慣れてくると上記の場合の商品Bをオススメしたいなら
アンカーリングに追加して親近効果と
バンドワゴン効果狙いで最後に
商品Bにだけお得情報を追加しますね。
「この3つの中でユーザ満足度が最も高いのはBです」
みたいに。
くどいようですが商品説明に嘘はいけません。
誠意を持って商売しましょう。
2−3時間に間に合いそうにない時の応用?
ちょっとズルい応用です。
時間の約束に間に合わない時にどうしてますか?
![](https://fire-tencho.com/wp-content/uploads/2022/05/run_businessman_aseru.png)
電話連絡で相手にどのくらいか伝えると思います。
そんな時にあと30分くらいで到着しそうなら
「あと45分くらいで着きます」と言ってみるのも手。
そう言っておいて30分で到着したら
「あれ、45分だと思ったけど早めに着いたんだ」
と錯覚させるという小ワザ。
この場合はもちろん先に提示した45分が
アンカーリングになってますね。
けど、そもそも遅刻しないでね。
どうしてもやらかしたらちゃんと謝りましょう。
2−4無料が当たり前?
最後はアンカーリングの副作用というか
マイナス面も紹介します。よくあるのが
店舗側の努力でサービスしているのを
「それが当たり前」とアンカーリングしてしまう
ことがあるんですね。
具体的には
- 通販サイトでの送料無料
- 家電製品の無料保証
- 飲食店でのお代わり無料
などですね。これらのサービスが有料になったら
ユーザーはどう反応するか?予想できますね。
「今まで無料だったのになんでお金を取るんだ」と。
かと言って店舗側では経費をかけてるわけで。
しかし有料に今さら切り替えると顧客が離れるかも・・・
というジレンマになっているのは多いです。
自分が営業サイドだとしてこのようなケースに
陥らないように注意しましょう。
③おまけ
本日は行動経済学の中から「アンカーリング」について
紹介しました。改めて言葉にしなくても
普段の営業で活用してる人は大勢いますね。
ここでは営業サイドに配属されたけど実績に
悩んでいたり、自分に合ってるのか不安な新人向けに
簡単に解説しました。
大丈夫。少しずつ慣れましょう。
こういう傾向を知ってて現場に立ってたら
きっとそのうち「そういうことか!」と
納得する場面が来るでしょう。
僕も、みんなも最初は新人だったから。
![](https://fire-tencho.com/wp-content/uploads/2022/05/jikosyoukai_man.png)
今回は行動経済学から抜粋で
「インプットされた情報が錨のように心の働きに影響する」
「アンカーリング効果」を紹介しました。
よかったら他の行動経済学シリーズも見てね。
ではまたー