こんにちは、やとわれてんちょと申します。小売りの現役店長で15年くらいやってます。
この春にお仕事を始めた新人さんは慣れて来ましたか?そして新人教育の担当という立場の方も慣れない仕事で毎日大変だと思います。僕の職場でも年齢の違う新人さんが複数加入して頑張ってくれてます。
この記事では僕の職場でもどこでも発生する、新人さんと先輩との間のすれ違いとか思い込みについて
「心理的安全性」という考え方からちょっとしたアドバイス的な情報を紹介します。今回はよく聞くセリフで
「なんでも聞いてね」というセリフに焦点を当てます。
このセリフに潜むお互いの心理と、なぜダメなのか?それに対するちょっとした工夫を解説します。
新人さんも教育担当さんもぜひ最後まで読んでこれからのお仕事に取り入れて見てください。
考え方を知ってるだけで職場の風通しが随分違ってくると思いますよ。
心理的安全性ってなに?心理学なの?
ちょっとだけ「心理的安全性」がなんなのか解説します。
これはGoogleが4年かけて「効果的なチームはどのようなチームか」を分析したことで広まった考え方で
「個々の能力よりもチームがどのように、どのくらい協力関係にあるか」
が大事だよという結果が有名です。
その協力関係の中でも「心理的安全性」が一番重要という結論でした。
もっというとスタッフがチームとか職場に対して率直な意見を言えるか?違和感があったら指摘できるか?
一方的じゃなく意見交換できる雰囲気か?それでいて生産性が高いか?能力成長が見込まれるか?・・・と。
そういう職場にしようと努力しています。
元々はハーバード大学のエイミー教授という方が「チームの心理的安全性」という概念を発表したのが最初らしいです。僕は会ったことありませんが。
ただ、ちょっと学問的な内容なのでそこからの引用じゃなく実際の現場や僕の実体験から具体的な事例を紹介します。今回は「なんでも聞いてね」というセリフに潜むお互いの心理と、もっと生産的な会話のコツに絞ります。
「なんでも聞いてね」に潜む心理
先輩やベテランがいう「なんでも聞いてね」
善意からこのセリフを言ってる方ばかりですよね。悪意がある人なんてまぁいないでしょう。新人さんが壁に当たって停滞する前に質問して欲しいし、質問してくれれば即解決する内容で時間をロスしてほしくない場合など。
ただ、先輩たちは少なくとも新人さんより経験があるので大体どんな質問が来るか予想はできると思います。だって自分たちが通って来た道ですから。
そして仕事をするにあたってやってみてわからないことを自分で質問という形で発信するのも大事な過程だとは思います。
仕事での打ち合わせをしてる時に鋭い質問が出て来たりすると分析してるなぁと思うものです。
大体のイメージですが先輩たちが言う「なんでも聞いてね」には新人さんが質問しやすくなるだろうという思いと
質問が出るくらい仕事を覚えてねと言う思いがありますね。
そして出て来た質問や相談のレベルで習得度合いをつかんだり次のステップに進もうかと考える人が多いんじゃないかと思います。
ですけど。
この記事を読んでる方はそれがうまく行ってないから困ってるはず。なかなか質問してこないし、相談なしに仕事を進めるから手直しも今日あったし。と。自分が新人の時は・・・と。
ということで次は新人さん側の心理傾向を思い出してください。
新人さんが質問しにくい要因「無知だと思われたくない」
新人さんより先輩とか教育担当さんが成績上位なのは当たり前と思われてます。経験もありますよね。だけど新人さんだって「無知だと思われたくない」んです。
必要なことだったら質問するでしょ?と思うかもしれないですが実は本当にちょっとした心理で質問を躊躇してる場面をよく見て来ました。例えば
- お客様の要望に沿った商品を提案できたと思うけど別プランはないだろうか?
- この仕事は習ったからひとまず完了したけどこれであってるかな?
このような「全くわからないわけじゃないけどできれば質問・確認したい」というような状況だと新人さんは質問を躊躇するし先輩たちはそれなら質問してよと思ってるギャップがよく発生しています。
こんな時に先輩たちが絶対やってはダメなのが「それくらい考えてよ」とか「前に教えたでしょ」とかの質問したことを後悔するような言い方です。
そうなると必要なことでも質問しなくなるし、成長は止まっちゃいますね。
こういうのは一回ではなく少しずつの出来事が積み重なってることが多くて改善は難しい。
この記事を読んだ方は、まず質問して来たという行動を評価してあげてください。そしてアドバイスを付け加えてあげるとなおいいですね。もし仕事の習得が甘いならやる気がどうじゃなく行動をみてあげるといいです。
そして質問するという行動に肯定的な反応を積み重ねれば自然と雰囲気が変わっていきます。
成長も褒めてあげましょう。先ほどの例だと
- お客様の要望に沿った商品を提案できたと思うけど別プランはないだろうか?
最初は新人は用語すら知らなかったはず。JANコードって何?から始まって教育してきて、お客様から要望を聞いてプラン作成までできるようになった過程をちゃんと褒めましょう。たとえ「まだ不充分」だとしても「無知じゃない」成長過程を評価してあげるのは教育担当のお仕事です。その上で質問したきた行動を評価ですね。
そうやって作っていくのが心理的安全性っていうものです。
新人さんが質問しにくい要因「無能だと思われたくない」
似たような心理ですがこの質問・相談で「無能だと思われたくない」という心理もあります。
新人さんだから仕事の能力が先輩より下でも恥ずかしくないんですけど、それでも質問したり相談したりを躊躇うこともありますね。例えば
- 商談を進めていたけど未成約になってしまった、原因は納期が合わないと言われたけど本心かどうか判断つかない
- レジでミスしてしまってギフト券が合わない。これは経理部に相談か、それとも財務部か
- 注文を受けたけど商品の色が2種類あることが後でわかった。確認したいが顧客とすぐ連絡取れない。もうすぐメーカが閉まってしまう。
こういった場面で質問や相談を躊躇してしまうような雰囲気になっている職場はかなりマズイです。
ミスやトラブルは即報告、即対処が基本ですよね。
わかってるんですけど判断する立場の人に情報が来るのがいつも時間をロスしてからってことも多いです。
これも心理的安全性の考え方から見るとトラブルにチームとして対処する下地があるかどうか。対処するのが先で
犯人探しとかにエネルギーをかけてる場合じゃないですね。
こんな時には「ありがとう、大ごとになる前に報告くれたから対処できた」みたいに質問・相談をしたという
行動そのものを評価することを忘れずに。先ほどと同じですね。
そうやって仕事を教えてくれた先輩は尊敬されるし、教えてもらえた後輩は今度の新人にうまく引き継げるでしょう。
・・・そうやって会話を聞く体勢になってから何がダメだったのかの分析も忘れずに。
何かを教えてるようで「はい・・すいません・・」しか会話がないのはもう卒業しましょう。
ミスした相手に「どうして?」と詰問するのも良くないですよ。
初めての新人教育に使って欲しい心理的安全性「ミスがあった時」質問の仕方を教える
そして大事なのが職場で質問の仕方を教えてないってことありませんか?
「あの、ちょっといいですか」しか言わないのは教えてないからです。
何がいつどこで何故どのようにをいうのは基本ですね。
先述の商品プラン相談の例だと
5分、確認とアドバイスよろしいですか?お客様Aさんへのプラン完成したのですが
要望通りとは思うんですけど追加で何か確認したりやった方がいいことありますか?
・・・ここまで言えたら新人じゃないかな?
質問や相談の時間的なルールも決めておくといいです。
- 定例報告は15時に一度。完了、進行中、手つかずの順番で
- イレギュラーは時間問わず。発生時、一次対処、二次対処、結果
- 判断を伴う場面ならまずAさんへ。Aさん不在か判断できないならすぐBさんへ
というような感じで。ここでも繰り返しですが一人で抱え込んで時間をロスしたり、もっと炎上してから相談するような新人さんもいますから
「早く報告が来たら炎上する前に対処したり考える時間が取れるでしょ?それに取引先が閉まってしまったらさらに打つ手がなくなっちゃうからね」
と具体的に伝えましょう。そして自分もそのように行動するのが大事です。
おまけ
ここまで読んでくれてありがとうございます。
質問というのは会話です。職場で話しかけられた時に険しい顔を見せてたら、質問という行動が小さな苦痛になっちゃいますよ。
誰だってご近所の気難しい人には自然に近寄らないようにしてるでしょ?
繰り返しになりますが、教育担当に抜擢された方はたいていの場合はその職場で優秀な方だと思います。だけど
「新人教育については新人」ってことも多いですよね。僕もそうだったのでわかります。
今回紹介した「心理的安全性」はまだまだマイナな考え方かもしれませんが、本屋さんなどでは関連書籍が最近増えてます。もし初めての部下や後輩ができた方は手にとって読んでみるとすごくタメになりますよ。
今回は「なんでも聞いて」に潜む心理を紹介しました。他にもいろんなケースについて僕の実経験もミックスして解説していこうと思ってます。また読んでもらえると嬉しいです。
ではー