【新人営業さん向け】本命アピールの前の一手間「アンカーリング」を現役店長が簡単解説

こんにちは、やとわれてんちょです。

小売業を22年、店長を15年ほどやってます。この記事は

仕事で営業に関わる人に是非知ってほしい行動経済学のうち

「アンカーリング」を紹介します。

営業サイドで働いている人もあんまり聞いた事ないかも?

「インプットされた情報が錨のように心の働きに影響する

っていう傾向のことですね。

まして意識して活用している人は少ないと思います。

営業する側としては周囲とちょっと差をつけるために、

購入する側としては特に意識してなかった自分の傾向を

理解するためにも知識として知っておくといいですよ。

この記事シリーズは

  • 営業に配属されたけど自信がない
  • 営業をしばらくしてるけど中々結果が出ない
  • センスで営業してるけど分析は特にしていない
  • 店舗を構えてるけどどう演出したらいいか手探り

という方へ行動経済学の中からひとつずつ簡単に

現場で使える活用例を紹介します。

初めての人でも分かるように教科書みたいな事例じゃなく

現場での事例を交えて紹介するので

営業現場が初めての人、自信がない人などにも

わかりやすくしていきますね。

それでは早速解説します。

  1. アンカーリングって何?どんな心理?
  2. アンカーリングの具体例、活用例
  3. おまけ

①アンカーリングって何?どんな心理?

冒頭でちょっとだけ触れましたがアンカーリング

「インプットされた情報が錨のように心の働きに影響する

という心理傾向です。船の錨(アンカー)があることで

船はその場所から決まった範囲しか動けませんよね?

人間の心理としても、ある情報に引っ張られて判断が

誘導されてしまうことはかなりあります。

というか営業現場では普通に使ってます。

商談の中では常に価格や性能を比較して購入判断を

するわけですが、どの数値を基準(アンカー)とするか?

どの価格を基準値と思ってもらうかが大事です。

この時に基準(アンカー)は「数字で伝えると効果的」です。

イメージしやすいし覚えやすい数字がいいですね。

特にアンカーリングが効果的なのはたまにしか購入しないもの

比較対象が少ない商品(サービス)などが該当します。

反対に日用品や缶コーヒーのように価格や性能が

だいたい把握されてる商品やサービスは

あんまりアンカーリングは有効じゃありません。

だって既に価格が頭に入ってる状態(アンカーリング)

ですから。

共通するのは

「先に伝える情報をアンカーリングとして使う」こと。

これをすっ飛ばして商談を急いじゃう営業の人多いですよ。

いきなり本命の商談を切り出して成功すればカッコイイですが

そんなのは続きません。

多少遠回りになるけど丁寧に選択肢を提案して

最終的には顧客・商談相手に選んでもらうのがいいと思います。

その時にこちらの本命を選んでもらうコツとして

アンカーリングを活用しましょう。

実際の現場ではアンカーリングだけじゃなく

「親近効果」「バンドワゴン効果」も併用します。

わかってて活用してる人もいればセンスで理解してる人も

いますね。よかったら別記事で紹介してるので読んでみてね。

【新人営業さん向け】売れるモノは更に売れる?「バンドワゴン効果」を現役店長が簡単解説します 【新人営業さん向け】情報の順番が大事?「親近効果」を現役店長が簡単解説します。

そしてアンカーリング効果を活用するにあたり

守るべきルールや効果の薄い場面も

あるので次の具体例、活用例で紹介しますね。

②アンカーリングの具体例、活用例

ではアンカーリングの具体例をいくつか紹介します。

定番の商談シーンやちょっとズルくない?という例など。

2−1この商品が今なら50%オフ?

よくある店頭広告やアウトレットモールなんかで頻繁にみますね。

商品A 29,800円が今なら14,900円にします!

というやつ。この場合29,800円の方を先に情報提示して

アンカーリングにしてます。半額の価格で2倍の価値が

手に入るならお買い得かなと思いやすい心理ですね。

でもこれ、本当にいつもは29,800円ですか?

嘘はダメですよ。これは「二重価格表示」と言って

景品表示法でルールが定められています。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/double_price/

消費者庁ホームページ「二重価格表示」より

これは先ほどの守るべきルール ですね。

知らなかったではダメなので営業活動する人なら

必ずチェックしましょう。

この例の場合、商品Aがふだん馴染みのないモノで

効果的な下地がある上で価格という数字

アンカーリングしてますね。それから

わかりやすい半額というキーワードで提示することで

二つの価格を比較する心理になり

「なんだか掘り出し物を見つけたかも」となるわけです。

2−2どのプランにしますか?松竹梅

こちらもよくあるアンカーリングの例。

先ほどと違って3つくらいの選択肢がある場合に

売り手としては商品Bをオススメしたいとします。

このような時に現場では

わざと完全予算オーバーの提示をすることがあります。

  • あえて予算大幅オーバーの商品A   24万円
  • 本命で購入してほしい商品B     12万円
  • 本命よりはちょっと格下商品C    10万円

こんな感じですね。これで先に商品Aを紹介して

24万円という数字をアンカーリングしておき、次に

商品Bの12万円を紹介するという訳です。

このようなケースは自動車や家電商品を販売する時

だけでなくコンサルティング提案やサービス提案でも

効果的ですね。価格を決めてる側が説明の順番を

上位のモノからするのは営業サイドでは普通です。

ただし、この場合も商品ABCどれになってもちゃんと

中身のあるモノじゃないと嘘になりますからね。

他にも実際の店舗では最初に目にする位置に

そのコーナーカテゴリから高額なモノを選んで

展開していることが多いです。これによって

そのコーナーを見た方は最初に見た商品価格を

自然と基準(アンカー)として考えやすいんですね。

慣れてくると上記の場合の商品Bをオススメしたいなら

アンカーリングに追加して親近効果

バンドワゴン効果狙いで最後に

商品Bにだけお得情報を追加しますね。

「この3つの中でユーザ満足度が最も高いのはBです」

みたいに。

くどいようですが商品説明に嘘はいけません。

誠意を持って商売しましょう。

2−3時間に間に合いそうにない時の応用?

ちょっとズルい応用です。

時間の約束に間に合わない時にどうしてますか?

電話連絡で相手にどのくらいか伝えると思います。

そんな時にあと30分くらいで到着しそうなら

「あと45分くらいで着きます」と言ってみるのも手。

そう言っておいて30分で到着したら

「あれ、45分だと思ったけど早めに着いたんだ

と錯覚させるという小ワザ。

この場合はもちろん先に提示した45分が

アンカーリングになってますね。

けど、そもそも遅刻しないでね。

どうしてもやらかしたらちゃんと謝りましょう。

2−4無料が当たり前?

最後はアンカーリングの副作用というか

マイナス面も紹介します。よくあるのが

店舗側の努力でサービスしているのを

「それが当たり前」とアンカーリングしてしまう

ことがあるんですね。

具体的には

  • 通販サイトでの送料無料
  • 家電製品の無料保証
  • 飲食店でのお代わり無料

 などですね。これらのサービスが有料になったら

ユーザーはどう反応するか?予想できますね。

「今まで無料だったのになんでお金を取るんだ」と。

かと言って店舗側では経費をかけてるわけで。

しかし有料に今さら切り替えると顧客が離れるかも・・・

というジレンマになっているのは多いです。

自分が営業サイドだとしてこのようなケースに

陥らないように注意しましょう。

③おまけ

本日は行動経済学の中から「アンカーリング」について

紹介しました。改めて言葉にしなくても

普段の営業で活用してる人は大勢いますね。

ここでは営業サイドに配属されたけど実績に

悩んでいたり、自分に合ってるのか不安な新人向けに

簡単に解説しました。

大丈夫。少しずつ慣れましょう。

こういう傾向を知ってて現場に立ってたら

きっとそのうち「そういうことか!」と

納得する場面が来るでしょう。

僕も、みんなも最初は新人だったから。

今回は行動経済学から抜粋で

「インプットされた情報が錨のように心の働きに影響する

「アンカーリング効果」を紹介しました。

よかったら他の行動経済学シリーズも見てね。

ではまたー

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