洗濯機を購入するときによく聞くのが「種類がありすぎて選べない」という声です。
確かにドラム式も縦型もそれぞれ種類が豊富ですし、節水性が高いとはいえドラム式と縦型では価格差があるので本当にそれに見合ったコスト削減が見込めるのか?など疑問が尽きませんね。一人暮らしだと縦型洗濯機が圧倒的なシェアですが、家族暮らしだと買い替えのときにドラム式ってどうなの?と思う方も多いでしょう。
今回はファミリー層向けのドラム式と縦型のメリット・デメリットをまとめます。また、どのモデルが一番優れているのか?ではなく「どのモデルが自分に合っているのか?」という考え方が洗濯機選びでは大事です。
2022年モデルを中心に紹介しますので過去のモデルにはなかった機能や、実売価格と将来コストバランスなどを比較して参考になれば嬉しいです。
この記事は
- 洗濯機の選び方がそもそもわからない
- ドラム式と縦型のメリット・デメリットをおさらいしたい
- ドラム式と縦型で価格と将来コストの具体例を知りたい
といった方に向けてお届けします。最後に生活シーン別のおすすめ機種を紹介しますので自分の生活に合った機種を探してみてください。
洗濯機の選び方の基本
洗濯容量と乾燥容量を確認
一度に洗濯できる容量の目安として「洗濯容量」が設定されています。
家庭に合っている洗濯容量の洗濯機を選ぶ目安としては、人数×1.5kg程度と言われています。つまり四人家族なら6Kg以上ということになります。
ただし、これは毎日こまめに衣服の洗濯だけをする場合の話。シーツを洗ったりまとめて洗濯することがあるなら6Kgでは全然足りません。ファミリー層や子どものいる家庭は洗濯物の量が増えてもいっぺんに洗いやすい10.0kg以上のモデルがおすすめです。
ぎゅうぎゅうに詰めて洗っても汚れは落ちませんし、容量が足りずに2回に分けて洗濯することが多くなると生活時間に影響してきます。
なお、洗濯容量と乾燥容量は異なるので洗濯だけではなく乾燥をするときは「乾燥容量」に注意して洗濯機を選ぶにしましょう。
ちなみにドラム式だとほとんどの機種が洗濯容量10Kg以上です。そして乾燥容量は洗濯容量の5割か6割くらいが基本です。洗濯11Kgなら乾燥6Kgなど。小型なドラム式で洗濯容量7Kgというのもあるにはありますがかなり少数派です。
本体サイズと置き場のスペースを確認
この洗濯機がいいなと思っても、置き場スペースによっては置くことはできません。
自宅の洗濯機置き場のスペースをメジャー等で計りましょう。基本的には防水パンのサイズは3種類あって 幅が640、740、800㎜で、奥行きが基本的に640㎜となっています。 正方形や長方形のものもあります。自宅の防水パンに収まる寸法の洗濯機を選ばないといけないので、あれこれ選び始める前に調べる必要があります。
僕も何度か経験がありますが寸法を測らずに機種をどれにするか何時間もかけて選んだ末、搬入できないことがわかって選び直しというケースはよく発生します。
例えばパナソニックの洗濯機の一部機種のサイズ例です。
最近だと奥行き内寸540㎜あれば置けるというドラムが多いですね。
それと結構見落としがちなのが「洗濯機の高さ」です。蛇口の高さに干渉するような場合にはやっぱり
設置できないので気をつけましょう。
そしてもちろん搬入経路で玄関や廊下、洗濯機置き場のドア幅が洗濯機サイズより余裕がないと搬入そのものができません。そうならないように玄関や廊下、ドアの幅を測っておきましょう。
最後にパナソニック、日立、東芝の各ホームページで設置可能か事前チェックできるページを紹介します。特にパナソニックは置き場サイズを記入してお店に持っていけるようなチェックシートになっていて便利ですね。
パナソニック公式ページより
日立洗濯機公式ページより
東芝公式ページより
乾燥機能付きかどうか
ドラム式洗濯機には乾燥機能はほぼ標準装備、縦型も乾燥機能ありタイプとなしタイプがあります。特にドラムを検討している方は節水性だけでなく乾燥機能にも魅力を感じて検討している方が多いです。乾燥機能があると何がいいのか?というと
- 疲れた夜に洗濯乾燥コースなら干さなくていいのですぐ寝れる
- 干す作業時間が軽減されるので体力的に楽
- 梅雨や冬場、台風などの天候によらず洗濯できる
- 外干しの時の花粉や黄砂、虫の付着ストレスから解放
- 乾燥することで内部の水分が減りカビ防止になる
というような「干す作業に伴う労力と時間とストレス」を軽減するのが大きなメリットです。
反面、乾燥機能を使うたびに乾燥フィルタ掃除をするのが普通なので乾いたら取り込むだけのコインランドリーのような使い方をイメージしている方は「掃除の手間がかかるとは思ってなかった」という感想を持つことが多いようです。
労力のイメージとしては乾燥機能なしのモデルと比較すると
「毎回洗濯したものを取り出して手で干す労力・時間」より
↓
↓
だいぶ差がついて
↓
「乾燥フィルタを掃除する労力・時間」
というイメージです。
生活スタイル・タイミングによっては
「とにかく後は洗濯機に任せて他のことをしたい」というシーンがあると思います。
また、詳しくは乾燥フィルタ掃除のメーカ公式動画があります。購入前にどういうメンテナンスが必要かを把握すると
「購入したけど使用イメージと違った!」ということが減ると思います。
例えばパナソニック公式ページにも動画でフィルタ掃除手順が掲載されています。説明書の細かい文字を読みたくない方でも動画で把握できるので購入前に閲覧すると良いですよ。各メーカも多少は手順が違いますが概ね同じようなメンテナンス方法となっています。
このような動画一覧で掲載されています。検討中のモデルを選んで再生してみてください。
下の動画はその中の一例です
比較として日立ドラム式洗濯機BDSTX110Gのお手入れ方法動画です。やっていることは殆ど同じですね。
東芝ザブーンシリーズの中でもTW127XP1Lというモデルは掃除が楽ですね。
東芝は動画でメンテナンス方法を告知しているコンテンツは他のメーカより少なめです。ただしカタログや取扱説明書は無料ダウンロードできるようになっているので、やはり購入前に一度みておくと良いと思います。
乾燥フィルタを毎回掃除するのは各メーカ共通ですが、このモデルはレバーを引くだけでポンっとゴミを捨てられるようになっているのと、乾燥ダクトや熱交換器まで自動洗浄する機能がついてるのは大きな特徴ですね。
ここまでのまとめ
- 洗濯容量と乾燥容量に注意して自分の生活にあうサイズを選ぶ
- 本体サイズと置き場のスペースを測ってから機種を選ぶ
- 乾燥機能が付いたモデルかどうかを選ぶ
という内容を紹介しました。
特に乾燥機能については「何もしなくて良い」というわけではなくフィルタ掃除の手間よりも干す作業軽減や洗濯のタイミングを天候に左右されないメリットが大きいと思うなら購入検討ですね。
次は何度も議論されているドラム式洗濯機と縦型洗濯機のメリットデメリットの比較です。
ドラム式洗濯機のメリット・デメリット
ドラム式洗濯機のメリット・デメリットを解説します。ここでは全体的な傾向として紹介しますので最近モデルには当てはまらない評価もあります。例えばドラム式洗濯機は洗浄力が弱いというような評価をしている方も多いのですが、最新モデルの中には「60度、40度温水洗い」や「マイクロファインバブル機能」など洗浄力を大きく伸ばす性能を備えていたりしますので決して洗浄力が弱いというわけではありません。
それとこれは現場の体感ですが、縦型洗濯機を使用していた方は買い替え先も縦型洗濯機をお求めで、ドラム式洗濯機を使用していた方はまたドラム式洗濯機をお求めになる場合が多いです。なかなか種類を変えようとはしませんね。やっぱり「慣れたものをまた選ぶ」という心理は強いですね。
それぞれのメリット・デメリットを押さえた上で
「どのモデルが自分に合っているのか?」という考えで選びましょう。
メリット
前提としてドラム式の洗い方の基本はドラムを回転させて衣類を持ち上げて落とす「たたき洗い」と、ドラムを急速に反転させて小刻みに衣類を動かす「もみ洗い」を組み合わせているのが基本です。特に使用する水が少ないのはよく知られています。また、ほとんどの機種に乾燥機能がついているのでこれらを総合してのメリットは
- 縦型よりも大幅に節水なので将来のランニングコストが低い
- 縦型よりも乾燥モードのコストが安い
- 縦型よりも乾燥機能が上位の機種が多くゴワゴワしにくい
- 少ない水で洗剤を溶かすため泡の濃度が高くとくに皮脂汚れに効果を発揮
- 洗濯物のからみが少ないので生地が傷みにくい
というメリット、特徴があります。
デメリット
- 少ない水で洗うので購入したばかりの濃い色の衣服から色移りすることがある
- タオルなどはパイルが寝てゴワつくこともある(乾燥機能を使うと、風合いが戻ります)
- 本体サイズ、重量が大きいモデルが多いので置き場を選ぶ
- 縦型と比べて高価になる傾向がある
ドラム式洗濯機は縦型洗濯機より後に開発されたので、当初にはなかった機能がどんどん追加開発されています。
一部機種には乾燥ダクトを掃除する手段がなかったりしたのですが最近は改良されていたり、乾燥を使うと下水配管の水分まで取ってしまって匂いが上がってきてしまう可能性のある機種があったりしましたが世代を追うごとに改良されていっています。
縦型洗濯機のメリット・デメリット
次は縦型洗濯機のメリット・デメリットを紹介します。何と言っても縦型洗濯機は現在の日本の洗濯機種類別ではまだ8割ほどのシェアを占めていますし、やはりドラム式洗濯機より安価なので一人暮らしや新社会人の方がまず購入するのは縦型洗濯機というイメージが強いですね。一人暮らし用に4kgや5kgなど小さな容量も多数開発されています。種類も豊富ですね。
メリット
縦型洗濯機の洗い方の基本はかくはん水流のもみ洗いです。パルセーターという部品を回転させてかくはん水流の「もみ洗い」をします。洗濯物同士を擦り合わせて洗っているイメージですね。また、縦型洗濯機はサイズ容量や乾燥機能有無などラインナップが豊富です。これらのメリットとしては
- ドラム式洗濯機と比較して安価なので買いやすい
- 使い慣れた形なので安心感がある
- 泥などの固形汚れに対して衣服同士をこすり合わせる洗い方は効果を発揮
- ドラム式洗濯機と比較してサイズ・重量が小さい場合が多く置けるケースが多い
- 同じ性能・容量で乾燥有無の違いなどラインナップが豊富
- ドラム式洗濯機より水量が多いので色移りしにくい
というメリット・特徴があります。
デメリット
- ドラム式洗濯機より水を多く使うので洗濯コストが高い
- ドラム式洗濯機より乾燥モードのコストが高い(乾燥がある場合)
- ドラム式洗濯機より乾燥モードの性能が低い場合が多い(乾燥がある場合)
- 乾燥で庫内が高温になるモデルが多く続けて使えない(乾燥がある場合)
- 衣類の傷みやからみがドラム式よりもやや多い
というデメリットがあります。
僕のオススメとしては乾燥モードを使うのであれば、それはもうドラム式洗濯機を選んだ方がいいのではと思います。何度も使ううちに衣服の痛みやシワの発生などでだんだん縦型洗濯機での乾燥モードを使わなくなるケースもチラホラ耳にします。
ただし「ドラム式洗濯機と比較すると安い」というのはやっぱり大きな魅力ですね。
実売価格とランニングコスト比較
それではドラム式洗濯機と縦型洗濯機の特徴がわかったところで、現実の価格とランニングコストを
比較してみます。
散々ドラム式洗濯機の方が節水コストや電気代コストがかからないと伝えてきましたが、それは
「本体価格の差と比べてどのくらいお得なの?」というのがわからないとうまく比較できませんよね。
各メーカの代表的な洗濯機二つを比較してコスト面に注目してみます。もちろん容量が全然違ったら比較にならないのでなるべく「同じ容量」で「乾燥モードあり」で同じような条件で比較します。
パナソニック編 ドラムNALX127A VS 縦型NAFW120V5
どちらも洗濯12kg乾燥6kgで、どちらも2022年6月現在の現行モデルです。
この2機種の価格とコストを調査しました。
型番 | 楽天価格(2022年6月8日時点) | 定格洗濯乾燥 使用水量 | 定格洗濯乾燥 電気使用量 | 定格洗濯乾燥 合計コスト |
例①NALX127AL | 268,290円 | 55ℓ | 890wh | 40円 |
例②NAFW120V5 | 168,920円 | 174ℓ | 2550wh | 115円 |
と、いうことは①と②の本体価格差は99,370円です。
そして洗濯から乾燥までの1回のコスト差が75円です。
仮に1日1回洗濯乾燥するとすると・・・
75円かける365日かける10年間だと273,750円のコスト差が出ちゃいますね!
これはもう本体価格差をはるかに超えてしまっています。
それでいて乾燥性能はドラム式洗濯機の方が上なので、「ドラム式洗濯機は高いから検討外」と思っていた方もこの二つで迷っているなら将来コストを見越して検討してみてはいかがでしょうか?
もちろん乾燥モードをどのくらい使うかはご自宅の状況によってバラバラです。
なんども言いますが「どのモデルが一番優れているか」ではなく
「どのモデルが自分に合っているのか?」という考えで選びましょう。
日立編 ドラムBDSTX110GL VS 縦型BWDX120G
型番 | 楽天価格(2022年6月8日時点) | 定格洗濯乾燥 使用水量 | 定格洗濯乾燥 電気使用量 | 定格洗濯乾燥 合計コスト |
例③BDSTX110GL | 244,000円 | 83ℓ | 1590wh | 63円 |
例④BWDX120G | 168,000円 | 140ℓ | 1980wh | 88円 |
③と④の本体価格差は76,000円です。
そして洗濯から乾燥までの1回のコスト差が25円です。
同じように1日1回洗濯乾燥するとすると・・・
25円かける365日かける10年間だと91,250円のコスト差となりました。
こちらも本体価格差をコスト面で逆転しています。
東芝編 ドラムTW127XP1L VS 縦型AW10VH1
シリーズラインナップの関係で容量が違ってしまっています。なるべく近いモデルを選んだのですが参考までに価格とランニングコストを比較してみてください。
型番 | 楽天価格(2022年6月8日時点) | 定格洗濯乾燥 使用水量 | 定格洗濯乾燥 電気使用量 | 定格洗濯乾燥 合計コスト |
例⑤TW127XP1L | 239,800円 | 61ℓ | 1270wh | 49円 |
例⑥AW10VH1 | 125,000円 | 92ℓ | 1910wh | 74円 |
⑤と⑥の本体価格差は114,800円です。
そして洗濯から乾燥までの1回のコスト差が25円です。
同じように1日1回洗濯乾燥するとすると・・・
25円かける365日かける10年間だと91,250円のコスト差となりました。先ほどの調査と同じ値段差になりましたが、本体価格を上回ってはいません。
ただし容量が違いますので、そのまま比較はちょっと難しいですね。乾燥容量が2kgも違うということは2回に分けて洗濯するケースなども想定した方がいいです。
4人家族だとすると乾燥5kgというのは少し足りないかもしれません。
まとめ
合計6アイテムを調べた結果です
同等容量の同じメーカでの本体価格差とコスト面の差としては
- やはりドラム式洗濯機の方が縦型洗濯機よりコスト面で優れる
- 10年間で計算すると9万円から27万円と大きく差が出る
- ドラム式洗濯機の中でも機種ごとにコスト面が大きく違う
ということがわかりました。
もし購入検討のドラム式洗濯機が値下がりしていて、同等容量の縦型洗濯機とあまり価格が変わらなくなってきていたら「1回あたりの洗濯コスト差」で何回で本体価格を逆転するか考えてみるといいかもしれないですね。
おまけ
今回の比較はあくまで
「ドラム式洗濯機と縦型洗濯機を比較した時に価格差をコストで逆転するのか」
というテーマで調査してますが、洗濯機の選び方としては他にも機能面や静音性など人によって重視するポイントは違ってきます。僕の体験としても性能でも価格でもなく
「こっちの白くてカワイイ洗濯機が良い!」という外見重視というケースもあります。
今回は選び方の一つの参考としてみてもらえると良いかなと思います。
家電製品は何年もずっと使い続けるものが多いです。自分の気に入ったもの、納得のいったものを購入して満足度の高い生活を送りましょう。
今回は洗濯機の選び方とコスト面に特化して記事を書きました。
最後まで読んで頂いてありがとうございます!
他にも家電関連の記事を書いていきますのでよかったらそちらも見ていただけると嬉しいです。
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