こんにちは、やとわれてんちょと申します。記事を見て頂いてありがとうございます!
5月も後半に入りました。この春に社会に出た方も、そろそろ研修期間が終わったり現場に出たりしてる頃でしょうか?
僕の職場でも新人さんがこの春配属されて毎日経験を積んでいってもらっています。
当たり前ですが個人ごとに仕事の飲み込みが早かったり遅かったり、成長著しい人もいればゆっくり成長する人もいますよね。きっと教育担当さんや先輩は毎日やきもきしていることでしょう。
この記事はそんな新人さんの教育担当に抜擢された方がいつも悩むポイントの
「もっと成長してほしいけど加減がわからない」
といった部分について書きます。
先に言っておきますがいわゆる「ブラック」な職場は論外です。タダ働きとか精神攻撃が横行している職場じゃなく、一般的な職場での話です。
「このやり方でこの新人さんは成長するのかな?」
「だけど厳しくして萎縮したり質問しなくなってもよくないな」
のようにその方のために悩んでる方に向けて、考え方の助けになればいいなと思います。
僕は小売業で20年以上、そのうち店長を15年くらいやってきました。
「心理的安全性」という考えと実経験をミックスして解説します。
傾向の違う職場ごとのよくある勘違いと、そのあとに心理的安全性のある職場を比べてみて
実際の職場に使える部分をフィードバックしてもらえたら嬉しいです。
アットホームな職場の勘違い
よく聞くワードですよね「アットホームな雰囲気」って。たぶん好意的なイメージがあるからいろんなバイト募集ページとかにウチはとてもアットホームな職場です!のように使われているんでしょう。
けど、決して良い面ばかりじゃないんです。中でもよくある勘違いと人材の成長性を分析します。
勘違いポイント
アットホームというとみんながニコニコしてて仕事もキツくなくて何も問題が起こらないような職場のイメージでしょうか?
そんな職場、続きませんよ?
- ミスがあっても特に何も言われない(ミスを防ぐノウハウも溜まらない)
- 業務量について決まりがない(自分がやらなくても誰かがやる)
- 成績について何も言われない(実績が良くても悪くても刺激がない)
- 新しい試みをしなくてもいい(新規開拓も意見交換もしない)
- 先輩や上司は優しい(必要なことも言わない)
これはサッカーチームで言えばずっと最下位なのに練習参加は自由で特に戦術も決めてなく試合後も打ち合わせはしてないチームのようなイメージですね。それは愛好会ならともかくプロではちょっと無理です。
現実にこんな職場があるとは思えませんが、もしアットホームという言葉に引っ張られてこのような状態になりつつあったら危険です。あっという間に職場の状態は悪くなるでしょう。
ミスは減らず、顧客は離れるのに誰も指摘しない。業務量が不足してるのに指摘しないから全体の生産性が下がる。成績について話さないから悪くなっても放置。新規開拓も新企画もなければ状況に置いていかれるけど誰も言わない。
ちょっと極端ですが、ここまで酷くなくても先輩や上司が当然言わなくちゃいけない事でも
「雰囲気を壊したくないからあんまり言わない、これくらいなら自分が後でフォローする」なんてことを
やってしまっている人もいました。
「自分がやった方が早い」と思うのもわかりますが
どんな頑張っても二人ぶん、三人ぶんの仕事をするのは無理です。
いつか破綻します。
アットホームな職場での人材成長性
当然ですが、人材成長性という観点についてこのような職場、これに近い職場では
新人さんは成長しにくいと思います。よく言われますが新人はどこまで成長するかというと教育担当さんか先輩スタッフのレベルまでです。自分で学んで自分で成長を続ける人なんて極々僅かです。
それなのに先輩は隠れたフォローと自分の仕事で手一杯、新人さんは成績もミスも業務も特に言われないでは
成長なんて見込めませんね。
それに人員を増やすということはそのチームか職場には人件費に見合った成績向上かシェア拡大などが見込まれているはずです。これじゃ人件費が増えただけですね。遠からず人事異動か縮小の未来に繋がっちゃうと思います。
また、教育担当さん側の成長も期待できません。「教える」という仕事を放棄していますよ。教えることでわかる自分の未成熟な点の把握とか知識の向上も期待されてますからね。
大体このパターンだと先輩の業績は下がり、新人の業績は伸びずチーム全体の生産性が下がった末に
上司と先輩は重い判断を迫られることになります。
キツイ職場の勘違い
次に全然違う例でよくキツイ雰囲気と言われる職場での勘違いと人材成長性をみてみます。
よくある営業ノルマの個人予算、ミスを許さない雰囲気、厳しい上司といったイメージですね。
勘違いポイント
まず何を勘違いしているか?それは先輩や上司が
「厳しく管理して目が行き届いているからうまくいっている」と勘違いしていることが多いです。
そして「スタッフのスキルも士気も上がっている」と考えている方が多いのも特徴ですが、
上がってるのはストレスもです。店舗によってはこんなこともありました。
- ミスするとすごく怒られるから確認する(顧客のためではない後ろ向きな動機、発生したら隠す)
- 業務量が多く個人責任が強い(手が空いても仕事を振られるのは困るから隠す)
- 成績の個人別格付けに厳しい(個人スキルの高いソロプレーヤーばかりになる)
- 自分個人の立場を優先しがちになる(知った情報やノウハウを独占する傾向になる)
- 先輩や上司は厳しい(できれば1対1で会話したくない)
サッカーチームで言えばオフェンスは点を取るだけ、ディフェンスは守るだけで試合に勝てなかったら誰の動きが悪かったら負けたんだというなすりつけあいをしているようなイメージですね。
経験もあって第一線で個人スキルも高かった方が役職についたりするとこのようなキツイ雰囲気の職場になってることが多いように思います。
僕もいくつもの店舗を見てきましたが、同じグループでも店舗によってぜんっぜん雰囲気が違います。
このような雰囲気の職場の場合、想像はつくと思いますがある程度スキルは伸びるものの自発的じゃなく
「指摘されるのが嫌だから」という後ろ向きな動機が強くなっちゃいます。
やたら厳しい人がいる仕事場で働いたこともありますが、スタッフ間のコミュニケーションもあまり活性化してませんでしたね。新人さんからすれば聞きたいことがあっても忙しそうだから今はまずいかなと思ってしまう雰囲気でした。
最悪なのはミス隠し、ごまかし、厳しい上司のための仕事などエネルギーの無駄が発生することですね。
余計なことして叱られたくないから新しい企画や意見も出にくいです。
そんな雰囲気なのに「なんで早く質問しないんだ」と言われる新人さんは可哀想です。
職場の会話も仕事上の思いつきやアイデアはあんまり出ず、業務上の必要な会話ばっかりになってませんか?
僕は営業側の仕事が長かったんですが、冗談が言えるくらいの職場じゃないと笑顔でお客様対応なんてできないですよ。
キツイ職場での人材成長性
この厳しい職場では新人さんのスキルもある程度は伸びるでしょう。けれどある程度で止まります。
先輩社員としても新人さんの能力向上にかけるエネルギーが自分の評価になってる手応えがあれば
まだ良いのですが、こんな職場では教育担当さんのノルマや予算を軽減してあげるような措置も期待できないです。
だからある程度新人さんの能力が伸びてきたら教えるのをやめる傾向が強いです。
そしてソロプレーヤーだらけの職場ではノウハウや業務スキルが引き継がれないことが多くて、異動とか世代交代があった時に一気に崩れます。新人教育という側面でも、教育担当さんに一任したら他の人はあまり協力してくれないようなことが多いんじゃないでしょうか。それだと新人さんも教育担当さんも孤立しますよね。
では心理的安全性のある職場とは?
いいとこ取り
ここでいう「心理的安全性」のある職場というのは「アットホームな職場」でも「キツイ職場」でもありません。
職場や仕事内容について意見を言っても罰は与えられないという心理的安全性を感じながらもチームのお互いがスキルアップの刺激を与えあうような職場です。
- ミスがあってもすぐに共有できる(チームで対処するのが普通だと認識している)
- 全体の業務量と自分の業務量がイメージ共有できている(状況によって補完しあえる)
- 個人業績も評価するが全体業績を大事にする(個人業績の合計が全体業績という認識)
- 立場によらず個人から全体への意見提示ができる(意見する行動も評価される)
- 先輩や上司からの評価基準が明確(行動に着目した評価、過程と結果を客観的に見れる)
サッカーチームで言えばオフェンスとディフェンスが戦術的にも噛み合ってよりハイレベルな動きができる上に、場合によっては別の戦術を試すことも厭わないようなイメージですね。
・・・こんなの理想的だけど無理でしょ。と思いましたか?
どうやって実現するのか
まずは、この記事を読んでる新人担当さんや数人の部下を持つ方は声に出してどんな風な仕事場を作っていきたいか言うのが第一歩です。
はっきり言います。「思ってるだけじゃ自己満足です」
僕もいろんな店舗で新人担当さんとか数人のチームを率いるベテラン社員を見てきましたが、大体のチームで仕事の進め方とか報告のルールとかが曖昧で決まってないことが多かったです。
ある先輩が「新人さんからなかなか相談が上がってこない。明らかに業務が遅れてるのに。」と思ってる一方、
新人さんは教育担当さんに相談をあげたいけど言いにくいから、一旦他の人に「どう言えばいいか」を相談してから改めて教育担当へ相談してるってこともありました。
ここは本人とちゃんと話して、
「何かあっても何も言わないようなヌルいアットホームな職場じゃなく、先輩の顔色ばっかり伺って成長が止まるような職場でもなく。こういう風に働けるようにしたいんだ」
と声に出してイメージを共有しましょう。
恥ずかしいですか?
ええ。すごく恥ずかしいです。でも頑張って言いましょう。
営業の仕事やってても職場のスタッフに向かって想いを語るのは恥ずかしいですよ。
で、同じくらい新人さん側の意見も聞いてあげてください。
「どうかな?職場に来て1ヶ月経ったけど質問しずらかったりとかない?業務の進め方で意見ないかな?」
みたいに聞いてあげてください。仕事始めて1ヶ月ちょいで「特にないです」なんてこと
絶対にないです。
業務外の雑談も大いにしてくださいね。
心を鬼にする必要はない
これは僕も過去に失敗したことなので真似をして欲しくないのですが。
よく使う慣用句で「心を鬼にして」って言いますけど、その言葉のせいにしてキツイ言い方をしてしまったり、まるでその人のために言ってて自分は嫌われ役を演じてるんだと自分を正当化してしまったり。
そんな指導を続けてたら僕のチームから配属異動願いが出てしまったことがありました。
心だけじゃなく人物像まで鬼に見えてたんでしょうね。
今でも思い出すだけでなんてアホなんだと思います。
ぜんっぜん「心理的安全性」のある職場ではありませんでした。
仕事をする上で知識が不十分な箇所を指摘することばかりで行動を褒めることも成長を見返すことも全然不足してました。嫌になるのも当たり前でした。
これを読んでる新人担当さんも同じようなことにならないように願います。
心理的安全性のある職場の人材成長性
最後に、「心理的安全性」のある職場での人材成長性は?
もちろん「アットホームな職場」よりも「キツイ職場」よりもはるかに成長します。
そういう職場で経験を積んだ人材は次の新人さんに対しても同じように対応できるようになっていくものです。
それにそういう職場を作れた先輩たちもまた何段階もスキルアップしてると思いますよ。
仮に教育担当さんが新人教育について困ったことがあっても職場全体で助けてくれたら
すごく助かりますよね。
おまけ
最後まで読んで頂いてありがとうございます!
この記事は新人教育の仕方とか部下に仕事を教える加減について悩む方向けに書きました。
ヌルい職場でもキツイ職場でもなく、その中間ですらない別の考え方で
「心理的安全性」のある職場を作っていきましょう。
いきなり職場全体じゃなくても、新人さんと教育担当さんの間だけでもまずは
こんな関係性を作っていけたらいいと思います。
繰り返しになりますが、教育担当に抜擢された方はたいていの場合はその職場で優秀な方だと思います。だけど
「新人教育については新人」ってことも多いですよね。
一人で悩まずに周りの人に頼りましょう。
心を鬼にして本当に鬼みたいにならなくてもいいんですよ。
今回紹介した心理的安全性は本屋さんなどでもいろんな書籍があります。
できれば部下を持った全ての人に読んでほしいです。
僕も実経験をミックスしてまた別のテーマを書いていきますので
また見てくれたら嬉しいです。
ではー